技術者も手は震えます。

「技術は体でおぼえる」
なんてことを言われるけれども、ちょっと誤解している人も多い気がする。
「体でおぼえる=何度も繰り返す」だけでいいと思っている人もいる。
それだけでは、絶対に技術は上達しません。
たとえばピンセットを持つ時、何十回も何百回も持つだけで、うまく持てるようになるかというと
そんなことはないでしょう。
では、どうすればうまく持てるのか?
「よく考える」=「技術は脳に記憶させる」。これが必要。
どんなこともそうなのでしょうけど、、、
ウォッチメーカーにとって1mmや2mmの部品をピンセットで持つことは難しいことではありません。
でも、普通の人では、手が震えたり、力が強すぎたり、上手くいかない。
では、ウォッチメーカーは手が震えないのか?
何百回もピンセットを使っているうちに震えなくなるのか?
そんなことはない。手は震える。
では、違いは何かと言えば、
「手は震えるということを知っている」ということ。
手が震えることを知っているからこそ、手が震えないようにする方法を知っている。
ややこしいけど、いたって簡単。
「よく考え、方法を知る」
「何度も繰り返して記憶する」
二つで一つ。でも忘れがちになるので注意。
優れた技術者の人たちはいとも簡単そうに複雑な作業を行う。
通常なら頭を悩ませるようなことをサラッとやってのける。まるで、何も考えていないかのように。
本当は多くの事を考え、判断し、実行している。
複雑な問題を一瞬で処理できるまでに訓練を重ねているからこその技。
ただ繰り返すのは時間の無駄。
原因、理由、根拠を考える。そしてそれが一瞬で分かるようになるまで繰り返す。
それが、「技術は体でおぼえる」ということです。