時計修理に使う工具の手入れ

先日、スイスから友人が帰ってきた。
工具を何個か持ってきてもらった。日本ではなかなか手に入れるのが難しいのでとてもうれしい。
感謝。
その工具、かなり古いものなのだが、とてもとてもきれい。 使ってなくてきれいなわけではなく、よく使われていたようだが、とてもきれい。 ちゃんと手入れされていたということ。
この手入れのちゃんとしたやり方を知っている人が意外と少ない。
たとえば、金属を平気でぬれた雑巾で拭いてしまう人がいる。 よくしぼっているから大丈夫というが、決して大丈夫ではない。
水、金属、錆などについて知らないのだろう。 先日書いた、「基礎」を知らないから平気で拭くのだろう。
そしてもう一つ、手入れの際に気をつけなければいけないこと。
「研磨剤をつかう」
研磨剤、錆び取り剤などは、とっても簡単に錆びや汚れを落とすことができる。とっても便利。
その反面、とっても危険。
何が危険か。
「研磨剤=削り取る」といっしょ。
研磨剤でサビが取れるのは、金属ごと錆を削り取っているから。 要するに、大切な工具を削っているのといっしょ。 毎日の手入れの際に、研磨剤を使うなんてことはもってのほか。 具を使い捨てにするつもりならいいですけど、、、 特に精度を要求する工具には、極力使わない、または使ってはいけない。 計測機器(マイクロメーター、バーニアゲージ、フィラーゲージなど) 、旋盤、ジャコツール、ホリアツール、ステッキングツールなど。
まだまだいろいろありますが、やはり基本を知っていれば、研磨剤が使えるか、使っていいのか判断できるでしょう。
判断つかない人は手入れの前に、正しい工具の扱い方を確認した方がよいでしょう。