時計の機械のネジはなぜマイナスなのか?

久しぶりに、家でドライバーを持った。
時計用ではなく、普通の大きいもの。
よく見てみると、家にあるような通常のネジはほとんどがプラスネジ。
でも時計はほとんどがマイナスネジ。
なぜ?
プラスのほうが、マイナスのように溝に沿って滑らせてしまうこともないし、力もしっかりと伝わる。いいことばかり。
でも、時計はいまだにマイナス。
大きな理由は、「美しいかどうか」だと思う。 時計は、時間を知る機械としてだけでなく、アクセサリーとしても扱われる。特に機械式の高級時計は、美術品、芸術品の域。 であれば、もちろん美しくなくてはいけない。ネジが締まればいいだけではない。
でも美しいと感じるかどうかは個人の趣味。
プラスネジをより美しいと感じる人もいるはず。 だけれども、プラスネジを採用している高級時計はない。
そこで、もう一つの重要な理由。
「美しく直せるか」
時計は必ずメンテナンス、修理が心要になる。使い捨てにしない限りは。 そして、ネジは必ず触られる。
同じ規格で作られていても、微妙に誤差がある。 そのために技術者はドライバーを調整する。
そこで問題が起こる。 プラスのドライバーの調整はとんでもなく大変。それと同様に、ネジにダメージを与えてしまった場合、ネジを仕上げなおすのもとてつもなく大変。技術者側の都合。
ネジだけでなく、いろいろな部品がよく考えて作られている。
なぜそのように作られているのかを理解すれば、より丁寧により美しく修理ができる。 動かすだけの修理ではいけない。技術者が美しさを奪ってはいけない。
「美しく」
これがすべての基本。