時計修理における基準という感覚

0.01mmは大きいか小さいか?
ウォッチメーカーの仕事は0.01mm単位。
ではウォッチメーカーには0.01mmが見えるのか?分かるのか?
例えば0.01mmの物と0.02mmの物を並べて見た場合、はっきりと違いが分かるでしょう。
0.02mmは0.01mmより2倍も大きい。
でも1.01mmの物と1.02mmの物を見比べても、違いを確認することは難しい。
同じ0.01mmの差なのに、、、
1.02mmは1.01mmよりも約1.0099倍。
2倍のものより分かりにくい、、、
ウォッチメーカーが分かるのは、ある基準に対して大きいか、小さいか。
「基準」が大切。
この基準が自分の目の中にあるか。
計測機器の発達で、かなり小さいサイズを正確に計測することが可能になった。
しかし計測できる物、できない物、できる箇所、できない箇所がある。
時計の内部は計測が難しい。
測定はできるだろうが、とてつもないコストと時間がかかる。
工場からでてくる製品はそれでいいだろう。
でも修理はそうはいかない。設計図通りにはいかない。
それを調整して動くようにするためには、定規で測ったサイズではなく、自分の経験から得られた
感覚=「基準」が必要。
数字に頼りすぎないこと。
自分の基準を信じられるまで訓練すること。
その感覚の鍛錬に終わりはないのです、、、