経験を積む

時計修理で難しいことの一つが「調整」。
時計の分解、組み立て自体はそれほど難しいことではない。一般的な時計でも、複雑時計と呼ばれるものでも、自分で分解したものを組み立てるのは、順番を記憶しておけばいい。
それが正しい順序なのかどうかは別として、分解して組み立てることは可能。
物によっては、テクニカルガイドもあるし。
ところが、調整はそうはいかない。
同じ時計であれば、分解組み立てや、注油箇所などはすべて同じ。 その工程どおり組み立てた時計が、すべて同じように動くかと言うとそうはいかない、、、
調整が必要になる。
それがウォッチメーカーの仕事の面白いところでもある。
古い時計と新しい時計ではもちろん調整は違ってくる。
マニュアルどおりにはいかない。
感覚的なものが必要となる。
「あと少し」とか「ちょっと大きい」とか数字では表しにくい感覚。
それは「経験」を積んでいくしかない。
その「経験」をつかむためには、しっかりとした技術、理論、考え方が必要になる。
ただ数をこなすだけでは経験にならない。
問題を意識し、解決すること。
今、自分には何が必要か?
何をしなければならないのか?
何をしているのか?
常に意識すること。それが「経験」になっていくから