テクニカルガイドはガイドでしかない

時計にはテクニカルガイドと言うものがある。
展開図、分解組み立ての手順、注油箇所など、いろいろな情報が書いてある。
とても便利なものだが、修行中の人は要注意。 テクニカルガイドを当てにしていては、学習できない。 それは、自分の経験にはならないから。
自分で考え、悩んで学ぶからこそ多くのことが得られる。 テクニカルガイドを見ながら作業すると言うことは、計算式、答えの書いてある数学の問題を解くようなもの。できて当たり前。 それを丸暗記すれば、同じ問題を解くことはできるだろう。
だが、少しアレンジされていたらどうだろう。 時計の機械は、常に改良されていく。テクニカルガイドで見た時計とちょっと違うとき、あなたはそれを修理できるのか。
また新しいテクニカルガイドができるまで待っているのか。 ちょっとぐらいの改良なら問題ない?
それが大きな間違い。 自分の技術をダメにする。
テクニカルガイドを使うなと言うのではない。使い方、使う順番があるということ。 初めからそんなものを当てにしていたら技術は身につかない。 ガイドを見る時間があるなら、なんども繰り返すこと。
一度にすべてを分解しない。 一つ一の部品を何度も繰り返す。
自分の頭の中で、分解組み立てができるようになるまで。 それができるようになったならば、テクニカルガイドを見てみる。 新しい発見、より効率のよい方法が見つかるかもしれない。 信じるものは、あくまでも自分の技術。
「テクニカルガイドは時計をなおしてはくれない。」