緩急針のお話の続き

さて、緩急針はいつ使うのか。
技術者は修理の際に、時間が合うように時計を調整する。
いろいろな計測機器を使って、調整する。
しかし、実際にその時計を使うお客様によってその精度は変わってくる。
激しい運動をする人。
温度変化。
使用時間。
などなどの個別の環境によって、どうしても精度にズレが出てしまう。
計測機器上では、一日の誤差がプラス1秒だとしても、実際に使用するとマイナス5秒とか。
それが気になるお客様が、時間がずれると再度持ち込まれたときに、緩急針を使って誤差を修正する。
これが緩急針の役目。
その際にも、ただ単に時間をプラスにする、マイナスにするだけでなく、ちゃんとお客様の使用している環境や状態を確認すること。
そして緩急針の調整でいいのか、根本的に精度の調整が必要なのか判断する。
その方が修理代金も修理期間も無駄にならない。
よく相談して修理を依頼すること。