日本とスイスの時計修理の考え方の違い

スイスと日本と何が違うのか?
もちろん考え方の違いが一番。
考え方が違うと、技術的にはどのような差が生じてくるのか。 そして時計には差が現れるのか?
例えば、振り角が上がらない時計がある。 あなたならどうする?
日本の技術者で多いのは、爪石を調整して振り角を上げる。 スイスのウォッチメーカーは、香箱周りの確認から入る。
振り角が上がらない理由はいたって簡単。 ゼンマイの力が上手く伝わっていない、どこかで力をロスしている。 理由は簡単だが、その原因を見つけ出すことが難しい。 爪石を引っ込めれば振り角が上がる。だから引っ込める。 なぜ振りが上がらないのかなんて気にしない。 振りがあがればそれでいい。 爪石を調整すれば、爪石が直接の原因の時はもちろんだが、そうで ないときでも振り角を上げることが出来る。
但し、爪石が原因で無い場合には、振り角は上がったとしても、本当の不具合は解決されていない。 その解決されないままの原因は必ず時計にダメージを与えていく。
そんなものが修理と言えるのか?
ではスイスのウォッチメーカーはどうか。 上に書いたように、振り角の上がらない理由は力のロス。その力を生み出すのが、ゼンマイ。 だからそこから確認しなおす。 香箱の蓋の位置。香箱真のズレ。キズなどなど。 抵抗になることを取り除いてあげれば、振り角は上がる。 振り角が上がったのならば、不具合は解決されている。
爪石はこんなのです(赤い部分)
