時計のお手入れ・保管方法

時計は数十〜数百もの金属パーツの集合体であり、パーツの中には1ミリに満たない小さい物まであります。それ故に、ちょっとした衝撃や環境の変化などで影響を受けてしまい、故障の原因にもなってしまいます。
大切な時計を長く使っていくためにも日頃のケアや保管方法はとても重要です。
メンテナンスとしてのオーバーホールの必要性はなくなりませんが、防ぐことのできる修理は防いだ方がお客様とその時計のためにも良いと考えております。
そのために、時計の知識が豊富な技術者がおすすめする時計のお手入れと保管方法をご紹介します。
時計のお手入れ 日頃編
日頃のお手入れとなるとあまり手間のかかる作業は面倒になってしまうと思います。
日頃のお手入れということで、日課にしても手間に感じない最低限のお手入れをご紹介します。
使用後はクロスで時計全体を軽く拭いて下さい。

時計を使い終わったらクロスで時計全体を軽く拭いて下さい。キレイに使用していると思っていても、汗やホコリなど見えない汚れが付着しています。
すぐに汚くなってしまうことはありませんが、日頃のケアは時計をキレイにするという意味以外にも普段気づかないような事(キズや針の動きなど)や症状をいち早く見つけるきっかけにもなります。

クロスには色々種類があります。
革でできたものや研磨剤が入っているものなどありますが、日頃のケアであれば普通のクロス(布製で研磨剤が入っていないもの)で大丈夫です。
研磨剤が入っていると時計の表面を削ることになるので、キレイにはなりますが、日頃から毎日使うとなると時計を痛めてしまいます。
日頃のお手入れはこのくらいで十分です。やる事が多いとかえって億劫になってしまい、日課にならなかったりしてしまいますので、それでは「日頃のお手入れ」になりません。
また、アウトドアなどでいつもより派手に汚れてしまったと思う場合は周期に関係なく本格編にあるお手入れをした方が良いでしょう。
時計のお手入れ 本格編
日頃のお手入れをしていても細かい部分には汚れが溜まっていくものです。
月に1回程、日頃より少し丁寧なお手入れするだけで、時計をいつまでもキレイに保つことができます。
細かい汚れはつまようじが効果的。

ベルトなどの細かい隙間の汚れやホコリはつまようじである程度とることができます。
つまようじはステンレス程硬くないので、時計を傷つける心配もありませんが、力を入れすぎないで下さい。
汚れが多い場合は歯ブラシも可。

つまようじだとどうしても部分的にしか汚れが取れず、時間がかかってしまいます。
そんな場合、つまようじ程汚れは取れませんが、歯ブラシ(やわらかい毛のもの)で広範囲の汚れをある程度取ることができます。
つまようじの後にやると効果的です。
最後にクロスとブロワーで仕上げます。

上記の工程だけでは剥がれた汚れが隙間などに残ってしまい、このまま放っておくとあまり意味がありませんので、終わった後はクロスとブロワー(空気を噴射する道具)で時計から汚れを落とししキレイにします。
クロスとブロワーは交互に何回かかけることで汚れを落としきることができます。

ブロワーはカメラのレンズ用でもなんでも構いません。
家電量販店のカメラ用品コーナーなどで売っていたり
します。
【研磨剤入クロスについて】
研磨剤入クロスは研磨剤が入っているため、通常のクロスとは違い時計を削ってしまいます。
小さい小キズや薄傷を消す分には効果的ですが、過度に使用してしまうと、メッキが薄くなったり磨いた部分だけ周りと雰囲気が違ったりしてしまいます。日頃のケアや月1回のケアにはおすすめできません。
月1回程度のお手入れは本格といえこの程度です。
色々なサイトには時計のベルトを外して洗浄したり、研磨剤入クロスで時計を蘇らせたりとかなり本格的なお手入れを紹介していますが、時計のベルトを外すのも専用の工具が必要ですし、研磨のし過ぎでメッキが薄くなってしまっては逆効果になってしまいます。
お客様個人でできるケアは外装の汚れ落としが主で、時計内部や工具が必要な部分に関してはキレイに掃除はできませんが、ケアを通して時計の細かい変化や症状に気づき、早い内に時計修理に出すということは、実は時計を修理するにあたりとても重要な事であり、普段その時計を目にしているお客様にしかできないことなのです。
保管方法
ご利用可能な決済方法
OverCoilでは以下の決済方法がご利用いただけます。
【銀行振込】

指定の口座に代金をお振込下さい。
発送はご入金の確認がとれてからの発送となります。
【代金引換】

佐川急便宅配員に代金をお支払下さい。
支払い方法は現金またはクレジットカードがご利用いただけます。
ご連絡があり次第発送させていただきます。
【クレジットカード】








佐川急便の代金引換決済にてクレジットカードがご利用いただけます。
代金とは別にカード手数料4%が発生いたします。
代金引換と同じくご連絡があり次第発送させていただきますので、代金を宅配員にお支払下さい。
時計をつけていない時もゼンマイの動力が残っていれば時計は動き続けています。
また、時計はデリケートなので、保管場所というのは重要といえます。
保管の際に注意しておく事
時計を保管する際に気をつけることは主に3つで、【磁気】・【湿度】・【日光】です。
また、上記の3つをクリアしていても、間違った置き方や入れ方で不具合が生じてしまう場合もありますので、注意して下さい。
場所を選ぶ前に
【リューズがちゃんと閉まっているかを確認する】
リューズが開いていてはそこからホコリやチリが混入してしまいます。
保管時に限らず、使用中もリューズはしっかり閉めておきましょう。
スクリュー式(ロレックス等)は押しただけでは閉まりませんのでご注意下さい。
【キレイな状態で保管する】
上記の日頃のケアを何日もせずに、ホコリや脂をそのままにしておくと悪臭の原因にもなります。
キレイにしておくにこしたことはありません。
【置き方を気をつける】
この部分に関しては細かいとは思いますが、メタルベルトの場合クッションを挟まずにそのまま平置きするとベルトでケースの裏に傷がついてしまう場合もあります。
また横向きで置く場合はリューズを上にして置く方が良いとされています。

磁気の影響から離れた場所に保管する
時計の症状の中でもかなり多い症状が磁気帯びです。
現代では様々な電子機器が大量にあり、いたるところに磁気があります。
時計は電子機器から最低10cmは離れた場所に保管して下さい。
【磁気を発する物】
テレビ・スピーカー・ノートPC・スマホ・タブレット・マグネット(バッグや扉など)・磁気ネックレス等
専門的な話をすると尽きませんが、時計を保管するという点からすると考えれば良いのは磁気を発する物と時計との距離くらいです。専門家になる分けではないので難しく考える必要もありません。
ざっと10cmと覚えていただければ大丈夫です。
湿度の少ない場所に保管する
時計の敵は磁気だけではありません。
湿度はサビやカビの原因になります。一般的には人間が過ごしている空間にあれば問題ありませんが、タンスの奥や物置など、空調設備が無い場所や効果が行き渡らない場所は避けた方が良いでしょう。
日光の当たらない場所に保管する
日光は時計の文字盤ヤケや湿度にも影響します。
時計内部も暑くなり、機能にも悪影響が及ぶので、日光が当たる場所(又はその近く)での保管は避けましょう。
日常での注意点
いくら家で丁寧なお手入れをしていても、外出先での扱い方が悪ければ時計に負担がかかってしまいます。街には時計の敵となる水気や磁気が溢れています。
時計の敵となる状況を把握し、少し気をつけるだけで時計へのリスクをある程度軽減できます。
バッグのマグネットやノートPCのスピーカースマホのスピーカー部分は気づかない内に時計を磁気にさらしてしまう可能性があります。
気をつけるとキリがありませんが、なるべく近づけないようにしましょう。


時計にとって水気は大敵です。
雨はもちろんですが、汗は体質上避けることは難しいでしょう。
使い終わった後にしっかり汗を拭きとりましょう。
自分ではあまり汗かいていないつもりでも、時計は想像以上に汗にさらされています。
その他注意点
時計を正しく使う
これまでの点を守れていれば、時計への負担はかなり軽減されていると思います。
しかし、いくら気を使っていても間違った知識で間違った時計の使い方をすると、時計を壊してしまう原因になります。ここでは特に間違いの多い扱い方をご紹介します。
【時刻合わせ】
時間を合わせる際に反時計周りで大きく針を動かさないでください。
時計周りでゆっくり合わせて下さい。
【自動巻き時計の巻き上げ】
自動巻きの時計を振ればローターが周りゼンマイが巻けますが、あまり激しく振ると時計に負荷がかかってしまいます。
巻き上げ効率もリューズ巻の方が良いので、余裕があるならリューズでの巻き上げをした方が良いです。

【カレンダー合わせ】
カレンダー合わせは午後8時〜午前4時の間には合わせないで下さい。
この時間帯はカレンダー送り機構がカレンダーと噛み合っている状態なので、
この時間に動かすと負荷がかかってしまいます。
また、カレンダーの中にはゼンマイ巻き上げと逆の方向で合わせる時計もあります。
【ゼンマイの巻き上げ】
手巻き時計や自動巻きのリューズ巻の際、あまり巻きすぎるとゼンマイが切れてしまいます。
巻き上げてく内にきつくなってきますので、きつくなってきたら巻き上げをやめて下さい。
また、アンティーク時計などはゼンマイの持続時間が短い時計もあります。
巻き上がっていないわけではありませんので、巻き過ぎないようご注意下さい。

【クロノグラフの過度な使用】
時計のクロノグラフ機構は過度な使用は想定されていません。
時間を計測するなら機械式時計よりデジタルストップウォッチの方がおすすめです。
また、操作方法を間違えると大きな負担となります。
「スタート(2時位置)→ストップ(2時位置)→リセット(4時位置)」の順番は守って下さい。
【クォーツ時計】
クォーツ時計の電池の寿命は一般的な解答はありますが、厳密な期間は技術者であっても分かりません。
しかし、クォーツ時計には電池切れが近づくと2〜4秒づつ秒針が進むようになり、この症状が出たら電池交換の合図と思って良いでしょう。
また、切れた電池をそのままにしておくと電池が液漏れしてしまい、最悪中の回路がショートしてしまい修理不可になってしまいます。

時計のお手入れや保存方法を徹底しても、時計の内部は技術者でもない限り手をつけることは難しいところです。時計が遅れ気味であったり、頻繁にとまってしまうなどの症状を早めに知り、オーバーホールや修理に出すことが、お客様にできる内部ケアの最善の方法です。
症状の発症から時間が経てば経つほど取り返しのつかないことになってしまう場合もあります。